
事前の講習会でも「重要」と説明があったので出題確率は高いです!
CPXの禁忌と中止基準
【問22】運動負荷試験における絶対禁忌で誤っているものはどれか、2つ選べ
1.左主幹部冠動脈狭窄
2.コントロールされていない症候性心不全
3.肥大型心筋症
4.急性大動脈解離
5.急性心筋梗塞(3〜5日以内)
下記に答えがあります。

【答え】1,3
【問23】運動負荷試験における絶対禁忌で誤っているものはどれか、2つ選べ
1.不安定狭心症
2.中等度の狭窄性弁膜症
3.コントロールされていない不整脈
4.急性肺塞栓症
5.高度房室ブロック
下記に答えがあります。

【答え】2,5
左冠動脈主幹部の狭窄や中等度の狭窄性弁膜症、高度房室ブロックの症例は、相対的禁忌に該当します。利点が、CPXのリスクを上回ると考えられた場合は実施しても良いことになっています。
利点が上回る場合とは、
①左冠動脈主幹部の狭窄であれば、残存狭窄として左冠動脈主幹部がある場合に、どの程度の運動強度で胸痛や心電図変化が生じるか評価する場合があります。
もし、peak(最大運動負荷)に近いところで、心電図変化が生じたとしても、普段の生活や仕事で、peakの負荷まで行動しない場合はステント(PCI)での治療はせずに、運動療法や薬物療法で治療ができることが分かります。
一方、AT(嫌気性代謝閾値)以下で、胸痛が出てしまう場合はPCIが必要という判断になります。
実臨床では、高齢者で、あまり活動性の高くない患者(4METs前後=入浴や普通の歩行レベル)に行われることが多いです。若年者の場合は、追加でPCIを行ってしまうことが多いかもしれません。
②中等度の狭窄性弁膜症③高度房室ブロックの場合も①とほぼ同等の理由でCPXが行われることがあります。
ココがポイント
運動負荷試験禁忌の覚え方
禁忌には、よく枕詞に「安定していない」や「症候性の」「コントロール不良」「急性の」などの怪しい言葉が付くことが多いです。
・急性心筋梗塞(3〜5日以内)
・不安定狭心症
・コントロールされていない不整脈
・症候性重症大動脈狭窄症
・コントロールされていない症候性心不全
・急性肺塞栓または肺梗塞
・運動によって悪化する恐れのある急性の非心臓性疾患(感染症、腎不全など)
・急性心筋炎または心膜炎
・下肢の血栓症
・急性大動脈解離
・意思疎通の行えない精神疾患
【問24】運動負荷試験の中止基準で誤っているものはどれか、2つ選べ
1.散発する心房性期外収縮
2.Borg scale 15
3.下降性ST低下(2mm以上)
4.血圧の過度な上昇(250mmHg)
5.血圧の上昇不全(負荷量が増加しても収縮期血圧の上昇が認められない場合)
下記に答えがあります。

【答え】1,2
1.心電図による中止基準は、著明な頻脈または徐脈、心室性頻拍、多発する不整脈、心房細動、Ⅱ〜Ⅲ度の房室ブロックが挙げられます。散発する程度の心房性期外収縮であれば中止する必要はありません。
心房性期外収縮が多発する場合は、「多発する不整脈」に該当しますが、実際にはそれに伴う症状(血圧上昇の不良など)がなければ、即座に中止はしないことが多いです。
2.borg scale(自覚的運動強度)は17以上(かなりきつい)で中止基準に該当します。15(きつい)程度では中止基準には該当しません。
実臨床では、患者が17(かなりきつい)を指さした場合、R(ガス交換比)が1.15に達しているかを確認するようにしています。Rが1.15以上であれば、十分に運動負荷をかけられたと判断することができるので、borg scale17は信頼性があると評価できます。
もしも、borg scale 17でRが1.0程度であった場合は、血圧や心電図等で問題なければ、もう少し頑張るように促すことが多いです。
運動負荷試験の中止基準
【自覚症状】
・強い息切れ、下肢疲労や下肢痛
・進行性に増強する胸痛
・失調、めまい
・本人の要望
【他覚所見】
・チアノーゼ、顔面蒼白
・冷汗
・運動失調
【血圧】
・収縮期血圧の上昇不良または進行性低下(負荷増量にもかかわらず収縮期血圧10mmHg以上の低下)
・異常な血圧上昇(250mmHg以上)
【心電図】
・明らかな虚血性ST変化(2mm以上の変化)
・調律異常
・心電図記録不良
今回は以上です。
知識の整理にお役立ちになれば幸いです。